●講演会 『檀ふみさん、美術を語る』
◆ 鼎談者 入江観氏・小林裕児氏
◆ 4月18日(日)午後1時30分~3時 国立新美術館 3階講堂
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春なのに冷たい雨が続いていましたが、久しぶりの晴天になりました。明るい日差しにつつまれた国立新美術館。恒例になってきた感のある第87回春陽展の講演会・企画はNHK日曜美術館の司会を担当された女優、檀ふみさんをお呼びして美術談義をすることになりました。
檀ふみさんは午前中より1時間余り春陽展の絵画・版画の会場を回られ、春陽会からは鼎談相手のお二人が絵の説明をいたしました。
定時の2時に開会し、理事長のあいさつ後、鼎談はすぐに始まりました。発言のかわきりは檀ふみさんが講演会のテーマとの関わり方について話され、続いて日曜美術館での入江氏との出会いから、今回の春陽展に至った次第を説明。
入江氏は檀さんが出演したドラマ「日本の面影」で小泉八雲の妻(せつ)役の演技に感動した経験を紹介し、今回檀さんをどうしても春陽会にお呼びしたいと考えていたと述べられ、檀さんに本日鑑賞していただいた春陽展を含め団体展の感想をお尋ねしました。
檀さんは、3年前に春陽展を初めて見たとき数多くの絵が並ぶ姿に驚いたこと、今日は絵とその作者を同時に見る機会もあったりして面白かったことなどを語ってくれました。檀さんは更にインタビュアーとしても才能を発揮し「あの大きな作品はどうやって描くの?」と小林裕児氏に切り込んだ質問をしたり、続いて「お二人の好きな作家、目標としてきた作家は?」とたたみかけて質問。入江氏は尊敬するセザンヌを紹介し、小林氏は青年期に見たピカソのことを話して鼎談は進行しました。
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小林氏は檀さんに、自分達は素材や造形性と問いかける仕事をしているが、俳優の仕事というものと、どう似ていて、どう似てないのかをお聞きしたいと振ると、檀さんは俳優の仕事と絵を描く仕事は多分直接は繋がらないけれど、俳優は相手があって、そこでの相互のリアクションが実に面白いこと、そこが皆で映画を作っていく楽しさかもしれないと返して、絵を描く仕事の特徴や傾向の話になりました。
入江氏は春陽会に初出品しパーティーに出席し、創立会員のたった2・3分のスピーチだけれども実に示唆に富み、洒落たそのスピーチに感動し、あの人達と絵を描いて行きたいと心に決めたこと。春陽会の岡鹿之助氏の配慮ある後進への応援の仕方などに触れながら現在に繋がる春陽会の紳士的なスタイルや心意気のような形を披露して会場の共感を呼びました。
檀さんは御自分では女優になりたくはなかったとのこと、東映からの誘いに意外にも父上、檀一雄から勧められて映画に出るようになり、気乗りしなかった映画入りの中でも、高倉健さんは素敵に見えたこと、中川一政氏のパーティーでは一政氏より「いい壺持っていない?」と尋ねられた思い出や、檀家の食堂に何代か続け掛けられてきた絵の話から、後になってみると、たった一枚の絵が結果的に家族のおおげさに言えば象徴というか、どこか帰属意識のようになっていたような、絵がそんな役割を果たしてくれていたことが今頃になってよく分かったと話してくれました。
鼎談は予定の90分を超えて多岐にわたり話はすすみ、檀さんの楽しい笑いも含めて好評のうちに終了しました。 (文責 高岸 まなぶ)