第88回春陽展・講演会

第88回春陽展・講演会 「成功とは何か・挫折とは何か-ある画家の生涯を考える」
講 師: 武田 厚 氏 (美術評論家)
2011年4月17日(日) 13:30~15:00 国立新美術館 3階講堂

春陽会の特別講演会は、毎年、様々な分野で活躍していらっしゃる方をお招きしています。第88回春陽展の今回は多摩美術大学客員教授で美術評論家の武田厚先生をお招きしました。タイトルは「成功とは何か・挫折とは何か  -ある画家の生涯を考える-」。
何をもって成功で何をもって挫折とするのか。一人の画家がどのように出現し、どのように終わったのか。1920年~30年のエコール・ド・パリを生きた画家の中から、特に「パスキン」に焦点を当て、その生涯を、妻のエルミーヌ、恋人のリュシーとの関わりを織り交ぜながらお話いただきました。
武田先生のお話によりますと、パスキンは元々、デッサン力、観察力に卓越し、独特な俯瞰的空間感覚を持った素描家で、人物、少女、裸婦をテーマとして描いており、その後油絵も発表し成功を収めた画家でした。パスキンの描く人物や裸婦は、人間の醜さと清らかさのギャップが特に魅力でしたが、後半、パスキンが本当に描きたくなったのは人物や裸婦ではなく神話、聖書の世界をテーマにした作品でした。絵を描く事が立ち行かなくなり、又、リュシーとの関係もうまく行かなくなった時に彼は自殺したのです。彼の生涯は画家として成功だったのか、挫折だったのか・・・。
プロジェクターの関係で、お持ちになった画像の色がかなり違ってしまい残念なご様子でしたが、たくさんの作品画像を見せてくださりながらの講演は、モジリアニ、ユトリロ、ゴーギャンの話も盛り込まれ、エコール・ド・パリの時代に想いを馳せるひと時となりました。
武田先生は北海道の出身で、春陽会の北海道出身作家の事もよくご存知でした。又、春陽会の展示も御覧くださっており、その印象を講演の中でこう話されました。「優雅で坦々と伸び伸びと自由。伝統的に、又、マイペースでマイウェイ」と。その言葉は春陽会会員の筆者にとって心地よく、又、背筋の伸びる気がしました。  (文責 岸 鹿津代)

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